公開日:2026年7月21日|最終更新:2026年8月19日
囲いとは玉を守る駒の配置=「守りの定跡」であり、この記事では将棋の代表的な囲い37種類を、上の堅さ・横の堅さ・組む手数などの数値と盤面図で一覧比較できます。振り飛車の美濃、居飛車の矢倉・穴熊まで系統別にまとめ、初心者向けの選び方も紹介します。
囲いとは玉を安全にするための駒組みの完成形です。下の表は列見出しをタップすると並べ替えできます(堅い順・手数の短い順など)。数値の意味は基準を開いて確認できます。
| 囲い | 陣営 | 上の堅さ | 横の堅さ | 手数 |
|---|---|---|---|---|
| 金矢倉 |
居飛車 | 85 | 55 | 13 |
| 銀矢倉 |
居飛車 | 80 | 50 | 15 |
| 片矢倉 |
居飛車 | 80 | 55 | 10 |
| 総矢倉 |
居飛車 | 90 | 60 | 15 |
| 菊水矢倉 |
居飛車 | 75 | 45 | 13 |
| 矢倉穴熊 |
居飛車 | 70 | 65 | 15 |
| 矢倉早囲い |
居飛車 | 65 | 45 | 10 |
| 片美濃 |
振り飛車 | 45 | 70 | 4 |
| 本美濃 |
振り飛車 | 50 | 80 | 5 |
| 高美濃 |
振り飛車 | 70 | 75 | 10 |
| 銀冠 |
振り飛車 | 80 | 70 | 13 |
| 木村美濃 |
振り飛車 | 60 | 70 | 8 |
| ダイヤモンド美濃 |
振り飛車 | 50 | 85 | 11 |
| 金美濃 |
振り飛車 | 50 | 70 | 5 |
| 振り飛車早囲い |
振り飛車 | 40 | 45 | 3 |
| 居飛車穴熊 |
居飛車 | 60 | 85 | 12 |
| 松尾流穴熊 |
居飛車 | 70 | 90 | 17 |
| 振り飛車穴熊 |
振り飛車 | 60 | 85 | 10 |
| ビッグ4 |
居飛車 | 70 | 95 | 21 |
| 銀冠穴熊 |
居飛車 | 70 | 85 | 15 |
| 舟囲い |
居飛車 | 45 | 40 | 6 |
| 左美濃 |
居飛車 | 50 | 65 | 7 |
| エルモ囲い |
居飛車 | 55 | 60 | 7 |
| 雁木 |
居飛車 | 75 | 55 | 10 |
| カニ囲い |
居飛車 | 50 | 45 | 5 |
| 中住まい |
両方 | 45 | 50 | 3〜5 |
| 中原囲い |
居飛車 | 60 | 65 | 7 |
| ミレニアム |
居飛車 | 75 | 80 | 11〜15 |
| ボナンザ囲い |
居飛車 | 70 | 55 | 7 |
| 居飛車銀冠 |
居飛車 | 80 | 70 | 10 |
| 地下鉄飛車 |
居飛車 | 55 | 65 | 13 |
| 天守閣美濃 |
居飛車 | 45 | 75 | 10 |
| 箱入り娘 |
居飛車 | 45 | 55 | 7 |
| イチゴ囲い |
居飛車 | 50 | 45 | 4 |
| アヒル囲い |
居飛車 | 45 | 60 | 5 |
| 金無双 |
振り飛車 | 65 | 40 | 5 |
| 無敵囲い |
振り飛車 | 25 | 35 | 3 |
90〜100=全囲い中トップクラス/70〜89=強い/50〜69=普通/30〜49=弱め/0〜29=明確な弱点。上の堅さ=頭からの攻めへの耐性、横の堅さ=飛車の横からの攻めへの耐性、端の堅さ=端攻めへの耐性、組みやすさ=少ない手数・一本道か、発展性=上位形に発展できるか。手数は初形から実際に並べ直して数えた最小手数です(囲いの形を作るのに必要な手だけ。飛車を振る手や、駒の通り道をあけるためだけの手は数えていません)。
囲いは基本形から発展していきます。美濃系・穴熊系・矢倉系の主な発展の流れは次の通りです(囲い名をタップすると各解説へ移動します)。
組む手数:13手
居飛車の代表的な囲い。金銀3枚を玉の周りに積み上げ、上からの攻めに強い。
注意・天敵:横からの飛車と、端攻め・棒銀に注意。
組む手数:15手
金矢倉の金の一枚を銀にした形。斜めの攻めに強いが横は金矢倉よりやや薄い。
注意・天敵:横からの飛車と、金気が薄い分の攻めに注意。
相性の良い戦法:矢倉戦法
組む手数:15手
金矢倉に銀を一枚足した金銀四枚の堅陣。上からの攻めに極めて強い。
注意・天敵:手数がかかり、組む途中の急戦に弱い。横からはなお注意。
相性の良い戦法:矢倉戦法
組む手数:13手
7七に桂を跳ね、玉を8九まで下げた矢倉。縦の攻めから玉が遠く、8筋が堅い。
注意・天敵:桂の頭が弱点。飛車を渡すと最下段に打たれて王手になる。横からの攻めは金矢倉より弱い。
組む手数:15手
金矢倉の形のまま玉を9九へ入れた囲い。攻め合いのとき玉が遠くて粘れる。
注意・天敵:対振り飛車の穴熊ほど堅くはない。端を狙われやすく、7八の金も他の駒に守られていない。
発展元:金矢倉 → 矢倉穴熊
相性の良い戦法:矢倉戦法
組む手数:4手
振り飛車の基本の囲い。玉・銀・金の三枚で、少ない手数で組める。
注意・天敵:頭が薄く、上からの攻めと端攻めに弱い。
組む手数:5手
片美濃に金を一枚足した振り飛車の本命。横からの攻めに非常に強い。
注意・天敵:頭(玉の上)が弱点。上部からの攻めに注意。左美濃との違いは陣営(本美濃は振り飛車側)。
組む手数:13手
高美濃から銀を玉の上に上げて冠せた形。上部・端が厚い堅陣。
注意・天敵:組む手数が長く、横からの飛車には注意。居飛車銀冠は左美濃からの発展。
組む手数:8手
片美濃から銀を4七に上げた軽い美濃。攻めに手数を回しやすい。
注意・天敵:守りが軽く、下段の金気が薄い。
組む手数:11手
本美濃に銀を一枚足した金銀四枚の美濃。横の堅さは囲い屈指。
注意・天敵:組むのに手数がかかる。端の守りは香と玉だけで、端攻めに弱い。
組む手数:5手
3八の金と4八の銀で守るバランス型の美濃。4六歩と突けば銀を中央へ使える。
注意・天敵:4九に銀を打たれると3八の金を狙われる。下段が空いていて打ち込みに注意。
発展先:金美濃 → 木村美濃
組む手数:3手
3八玉・4八銀のわずか3手で組め、急戦にすぐ間に合う。三手囲い・壁囲いとも呼ぶ。
注意・天敵:玉の左が4八の銀と4九の金で壁になっている。端攻めや2七を攻められると危ない。
組む手数:12手
玉を隅に囲い、香・銀・金で固める。横からの攻めに極めて強い。
注意・天敵:組む途中を狙う藤井システムに注意。端や上部の攻めにも弱い。
相性の良い戦法:居飛車穴熊 右四間飛車
組む手数:17手
居飛車穴熊に銀を一枚引き付けた金銀四枚穴熊。堅さは最上位クラス。
注意・天敵:手数がかかり、組む途中の急戦に弱い。端と上部は穴熊共通の弱点。
相性の良い戦法:居飛車穴熊
組む手数:10手
振り飛車側が玉を隅に囲う穴熊。横からの攻めに強く、じっくり戦える。
注意・天敵:組む途中の急戦と、端や上部からの攻めに注意。
組む手数:21手
居飛車穴熊を金銀四枚で固めた最堅の囲いのひとつ。横はほぼ崩れない。
注意・天敵:完成まで手数が非常に長く、組む前に仕掛けられると弱い。
発展元:居飛車穴熊 → ビッグ4
相性の良い戦法:居飛車穴熊
組む手数:15手
銀冠の玉を9九まで入れた堅陣。上部にも端にも厚い。
注意・天敵:完成まで手数が非常に長い。8五に歩を突かれ、8七の銀の頭を狙われる。
発展元:居飛車銀冠 → 銀冠穴熊
相性の良い戦法:対 三間飛車(持久戦) 対 四間飛車(持久戦)
組む手数:6手
対振り飛車の急戦で使う軽い囲い。玉・金・銀を数手で組める。
注意・天敵:持久戦になったら左美濃や居飛車穴熊に発展させる。堅さ自体は低い。
組む手数:7手
居飛車が対振り飛車で使う美濃。美濃を左右反転した形。
注意・天敵:本美濃(振り飛車側)と左右が逆。玉が振り飛車の角筋に入りやすい点に注意。
発展先:左美濃 → 居飛車銀冠
組む手数:7手
近年主流の対振り急戦の囲い。低く堅く、短い手数で組める。
注意・天敵:玉頭の守りが薄く、堅さは穴熊に劣る。
組む手数:10手
銀2枚を6七と5七に横に並べる囲い。中央から上部の攻めに強い。
注意・天敵:横からの攻めと端に注意。角交換から打ち込まれるスキもある。
組む手数:5手
矢倉へ発展する途中の軽い囲い。横に金銀を張った形で組みやすい。
注意・天敵:完成形ではなく堅さは低い。矢倉や雁木へ発展させて使う。
発展先:カニ囲い → 金矢倉
組む手数:3〜5手
左右にバランスよく構える囲い。金銀の並びに決まった形はなく、代表的な2型があります。
組む手数:7手
相掛かりで中原十六世名人が用いた囲い。低く横に構えてバランスがよい。
注意・天敵:突出した堅さはないが、玉が広く手厚い。5筋の歩のたたきと、4八の銀を狙う桂に注意。
組む手数:11〜15手
対振り飛車で使う堅い囲い(トーチカ)。金の使い方で代表的な2型があります。
組む手数:7手
将棋ソフト『Bonanza』が多用した囲い。低く構え、角の打ち込みに強い。
注意・天敵:上からの攻めには手厚い。下段が空いていて、横からの飛車の打ち込みに弱い。
相性の良い戦法:対 角交換振り飛車
組む手数:10手
左美濃から玉頭に銀を上げた居飛車の堅陣。上部に手厚く、対振り持久戦の主力。
注意・天敵:組む手数が長く、組む前の急戦に注意。玉が振り飛車の角筋に入りやすく、横からの飛車にも注意。
相性の良い戦法:対 四間飛車(持久戦)
組む手数:13手
飛車を最下段の9九まで回し、香と連携して端を攻める対振りの陣形。玉は低く左に固める。
注意・天敵:組むのに手数がかかり、実現前に振り飛車から動かれやすい。
相性の良い戦法:端攻め
組む手数:10手
舟囲いから8七へ玉を上がった左美濃。玉が角の筋に入らず、横からの攻めに強い。
注意・天敵:玉頭からの攻めに弱い。対天守閣美濃の藤井システムが天敵。
発展元:舟囲い → 天守閣美濃
相性の良い戦法:対 四間飛車(持久戦) 棒銀
組む手数:7手
舟囲いの右の金を6八へ寄せた形。玉の周りが厚く、舟囲いより横に強い。
注意・天敵:右辺が薄いのは舟囲いとほぼ同じ。少し離れた地点に桂を打たれる筋に注意。
発展元:舟囲い → 箱入り娘
組む手数:4手
相掛かりで使う4手の囲い。7八の金が角の頭を守る。
注意・天敵:玉が薄い。飛車を下段に回られ、銀を打って金2枚を同時に狙われる。
組む手数:5手
玉の両脇に銀、下段に金2枚を置く低い囲い。飛車や角を渡しても打ち込まれにくい。
注意・天敵:進展性がほとんどない。相手にじっくり駒組みをされると、攻めの手を作りにくい。
相性の良い戦法:相掛かり
組む手数:5手
主に相振り飛車で使う囲い。金二枚を横並びに構える。
注意・天敵:美濃より上部の攻めに強い。横からの攻めと、玉の斜め(うさぎ耳)が弱点。
組む手数:3手
5八の飛車と両銀で玉を囲う3手の形。名前とは逆に、実際は弱い囲い。
注意・天敵:横からの攻めに非常に弱く、玉の逃げ道もない。玉と飛車が近い形で、相手が強くなると通用しない。
相性の良い戦法:中飛車
一般に穴熊系(居飛車穴熊・松尾流穴熊・ビッグ4)が最も堅く、特に横からの攻めにはほとんど崩れません。ただし端や上部、組む途中は弱点になります(ビッグ4は端を補強した形です)。
振り飛車なら美濃囲い(片美濃・本美濃)、居飛車なら舟囲いがおすすめです。少ない手数で組め、堅さと組みやすさのバランスが良いからです。
美濃囲いは片美濃が4手、本美濃が5手で組めます。高美濃・銀冠まで伸ばすと10〜13手、穴熊やビッグ4はさらに長くかかります。堅い囲いほど手数が長くなります。
端や上部(玉の頭)からの攻めと、組む途中に急戦を仕掛けられることです。特に居飛車穴熊は、組み上がる前を狙う藤井システムが天敵です。