公開日:2026年8月15日|最終更新:2026年8月15日
戦法とは、飛車や銀をどう使って攻めるかを決めた駒組みの計画=「攻めの定跡」です。代表的な戦法24種類を、破壊力・速さ・定跡手数の数値と盤面図で一覧比較できます。振り飛車・居飛車・奇襲の系統別にまとめ、初心者向けの選び方も紹介します。
この早見表では24種類の戦法を破壊力・速さ・定跡手数で見くらべられます。列見出しをタップすると並べ替えできます。数値の意味は基準を開いて確認できます。
| 戦法 | 分類 | 破壊力 | 速さ | 定跡手数 |
|---|---|---|---|---|
| 四間飛車 |
振り飛車 | 55 | 45 | 11 |
| 三間飛車 |
振り飛車 | 60 | 50 | 16 |
| 石田流 |
振り飛車 | 75 | 70 | 15 |
| 早石田 |
振り飛車 | 85 | 95 | 11 |
| 中飛車 |
振り飛車 | 70 | 60 | 12 |
| ゴキゲン中飛車 |
振り飛車 | 80 | 75 | 12 |
| 向かい飛車 |
振り飛車 | 70 | 55 | 12 |
| 角交換四間飛車 |
振り飛車 | 65 | 45 | 15 |
| 藤井システム |
振り飛車 | 85 | 85 | 15 |
| 棒銀 |
居飛車 | 75 | 80 | 12 |
| 早繰り銀 |
居飛車 | 75 | 85 | 14 |
| 腰掛け銀 |
居飛車 | 65 | 40 | 17 |
| 角換わり |
居飛車 | 70 | 55 | 16 |
| 一手損角換わり |
居飛車 | 55 | 30 | 16 |
| 矢倉戦法 |
居飛車 | 60 | 35 | 16 |
| 雁木戦法 |
居飛車 | 65 | 55 | 13 |
| 横歩取り |
居飛車 | 85 | 90 | 14 |
| 相掛かり |
居飛車 | 65 | 70 | 11 |
| 右四間飛車 |
居飛車 | 90 | 80 | 13 |
| 居飛車穴熊 |
居飛車 | 50 | 20 | 16 |
| 右玉 |
居飛車 | 55 | 35 | 14 |
| 鬼殺し |
奇襲 | 80 | 95 | 14 |
| 筋違い角 |
奇襲 | 55 | 70 | 16 |
| 嬉野流 |
奇襲 | 70 | 80 | 11 |
5つの数値は各100点満点で、24種を見くらべた相対の点数です。90〜100=トップクラス、70〜89=強い、50〜69=普通です。30〜49=弱め、0〜29=明確な弱点です。破壊力=決まったときに相手陣を崩す力です。速さ=仕掛けるまでの早さです。意外性=相手が知らない可能性の高さです。覚えやすさ=手順の少なさと一本道かどうかです。汎用性=どんな相手にも使えるかです。定跡手数は、その戦法の決まった手順に入っている自分の手の数です。相手の手は数えていません。
戦法は基本の形から枝分かれしていきます。元になった戦法がはっきりしている組み合わせだけを載せています。戦法名をタップすると各解説へ移動します。
振り飛車とは、飛車を左へ動かして戦う戦法のまとまりです。飛車のいない右側に玉を囲えるので、少ない手数で堅くなります。
定跡手数:11手
飛車を左から4つ目の6筋(後手は4筋)に振る戦法です。攻めと守りのつり合いが良く、振り飛車でいちばん有名な形です。
注意・対策:居飛車穴熊に組まれると長い勝負になります。棒銀のような早い仕掛けにも備えが要ります。
定跡手数:16手
飛車を左から3つ目の7筋(後手は3筋)に振る戦法です。角と左の銀を使いやすく、早い仕掛けにも進めます。
注意・対策:早い仕掛けや居飛車穴熊が相手だと、飛車を働かせる場所を作るのが難しくなります。
定跡手数:15手
三間飛車の一つで、歩を伸ばして飛車を1つ前へ浮く形です(▲7五歩・▲7六飛)。飛車・角・桂が連動して大きく働きます。
注意・対策:金を前に出して飛車を押さえる「棒金(ぼうきん)」が昔からの天敵です。
定跡手数:11手
石田流の急ぐ形です。角道を止めずに歩を伸ばし、すぐ飛車を回って仕掛けます(▲7五歩・▲7八飛)。
注意・対策:相手に金を上がって落ち着いて受けられると、攻めが続きません(△7二金)。
相性の良い囲い:片美濃(囲う前に戦いになることが多い)
定跡手数:12手
飛車を真ん中の5筋に振る戦法です。飛車と銀を中央に集めて押し込みます。
注意・対策:左の金が使いにくく、囲いが薄くなりがちです。相振り飛車(互いに振り飛車)では三間飛車に苦しみます。
相性の良い囲い:片美濃
定跡手数:12手
角道を開けたまま5筋に飛車を振る中飛車です。5筋の歩を5段目まで伸ばして場所を取り、攻めます。
注意・対策:右の銀を前へ出す「超速(ちょうそく)」が代表的な対策です。角を交換する変化も多くなります。
相性の良い囲い:片美濃
定跡手数:12手
相手の飛車と同じ筋(先手は8筋)に飛車を振る戦法です。相手の飛車先を逆に攻め返すのが狙いです。
注意・対策:飛車が向かい合うので、角で飛車をタダで取られる形(素抜き)に注意します。
定跡手数:15手
角を交換してから飛車を4つ目の筋へ振る振り飛車です。角を銀で取り返させると、相手は居飛車穴熊に組みにくくなります。
注意・対策:手を損するぶん、早い仕掛けで攻められると忙しくなります。
定跡手数:15手
玉を囲わないまま四間飛車に構える戦法です。居飛車穴熊が完成する前に攻めきります。
注意・対策:玉が初めの場所にいるので、1手のミスが致命傷です。ミレニアム囲いなどが対策として作られました。
相性の良い囲い:本美濃(囲わずに金銀だけをこの形に置く)
居飛車とは、飛車を元の場所に置いたまま戦う戦法のまとまりです。覚える定跡は多いですが、指し方の幅が広がります。
定跡手数:12手
銀を棒のようにまっすぐ前へ出し、飛車と一緒に一点を破る戦法です。狙いがはっきりしていて分かりやすい形です。
注意・対策:受け方が広く知られていて、銀が働かない駒になりやすいのが弱点です。
相性の良い囲い:舟囲い
定跡手数:14手
右の銀を早く前へ進め、歩と一緒に速攻する戦法です(▲3七銀〜▲4六銀)。角換わりの銀の使い方の一つです。
注意・対策:相手に銀を上げられ、歩で追い払われると銀が中途半端になります(△5四銀)。図は銀を3五まで進めたところです。
定跡手数:17手
銀を5筋の歩の上に腰掛けたように上げる形です(▲5六銀)。角換わりでよく指される、じっくり戦う構えです。
注意・対策:定跡が深く、一手間違えると角を打ち込まれます。棒銀や右玉に対抗されます。
相性の良い囲い:角換わり矢倉に囲うことが多い形です。
定跡手数:16手
序盤で角を交換してから駒組みする、互いに居飛車の戦法です。銀の使い方で棒銀・早繰り銀・腰掛け銀に分かれます。
注意・対策:「角換わりには5筋を突くな」の格言どおり、5筋の歩を突くと角を打ち込まれます。図は腰掛け銀に構えた形です。
相性の良い囲い:決まった囲いはなく、銀矢倉や雁木など相手の形に合わせます。
定跡手数:16手
後手が自分から早めに角を交換する戦法です。わざと1手を損し、相手の形を見てから作戦を決めます。
注意・対策:1手損しているので、先手に早い攻めを選ばれると忙しくなります。図は一手損角換わりを受ける先手側の形です。
相性の良い囲い:金矢倉(相手の形に合わせて選ぶ)
定跡手数:16手
矢倉囲いを目指して戦う、互いに居飛車の戦法です。上からの攻めに強い堅い陣形を作ります。
注意・対策:横からの攻めと端攻めに弱い形です。雁木や早繰り銀で矢倉にさせない指し方も増えました。
相性の良い囲い:金矢倉
定跡手数:13手
2枚の銀を並べて中央を厚くする戦法です(▲6七銀・▲5七銀)。角を元の場所に残したまま攻めに使えます。
注意・対策:玉が堅くなりにくい形です。角道の歩を守る駒が銀1枚しかないのも弱点です。
相性の良い囲い:雁木
定跡手数:14手
相手の歩を飛車で横から取るところから始まる戦法です(▲3四飛)。図は取った飛車を自陣近くへ戻し、中住まいに囲った形です。
注意・対策:大駒(飛車と角)を交換する激しい戦いになりやすい形です。一手の間違いがすぐ負けにつながります。
相性の良い囲い:中住まい
定跡手数:11手
互いに飛車先の歩を伸ばし合う、互いに居飛車の戦法です。先手も後手も指し手の幅が広くなります。
注意・対策:歩を交換したあとに飛車先をもう一度伸ばすと手を損します。形で不利になりやすいので注意します。
相性の良い囲い:中住まい
定跡手数:13手
飛車を右側の4筋(後手は6筋)へ動かす居飛車の戦法です。飛車・角・銀・桂を一点に集めて攻めます。
注意・対策:攻めが単調になりやすく、受け方を知っている相手には止められます。
定跡手数:16手
飛車を動かさず、玉を左の隅まで運ぶ戦法です。金2枚と銀1枚で玉のまわりをふさぎます。
注意・対策:組み上がるまでが長いのが弱点です。完成前をねらう藤井システムと端攻めが天敵になります。
相性の良い囲い:居飛車穴熊
定跡手数:14手
居飛車のまま玉を右側に囲う戦法です。相手の研究が届きにくく、自分の形で戦えます。
注意・対策:天敵は、途中から飛車を振る指し方と、飛車を最下段へ回る地下鉄飛車です。玉のまわりが薄いという見方もあります。
相性の良い囲い:右玉の形そのものが囲いを兼ねます。
奇襲戦法とは、相手が知らないことを利用して短い手数で決めにいく戦法です。受け方を知られていると通じません。
定跡手数:14手
左の桂を前へ2回はねて、一気に攻める先手の奇襲です(▲7七桂〜▲6五桂)。名前は「鬼も逃げ出す」という売り文句から付きました。
注意・対策:正しい受け方が広く知られていて、知っている相手には通じません。
相性の良い囲い:玉を囲わずに攻めます。
定跡手数:16手
角を交換してすぐ、歩の両取りになる場所へ角を打つ奇襲です(▲4五角)。うまくいけば歩を1枚得できます。
注意・対策:打った角が使いにくく、手も損します。図は歩を取った角を自陣へ引き、居飛車穴熊に囲った形です。
相性の良い囲い:居飛車穴熊
定跡手数:11手
初手に左の銀を上がり、3手目に角を引くのが目印です(▲6八銀・▲7九角)。守りに使う左の銀を、斜めに前へ出して攻める奇襲です。
注意・対策:玉が薄い形です。相手に角を出されて飛車の交換を迫られる受け方が有力な対策です(△4四角)。
戦法は、自分が攻めたいか守りたいかで選ぶと決めやすくなります。
振り飛車なら四間飛車、居飛車なら棒銀がおすすめです。どちらも駒組みの手順が決まっています。少ない手数で攻めの形と囲いの両方が作れます。
どの戦法が一番かは決まっていません。勝ちやすさは相手が対策を知っているかで変わります。まず1つの戦法に決めて、受け方への対応を覚えるほうが勝率は上がります。
初めのうちは振り飛車が組みやすいとされています。飛車を左へ振ると、右側に美濃囲いを短い手数で作れるからです。居飛車は覚える定跡が多いぶん、指し方の幅が広がります。
戦法は「どう攻めるか」を決めた構えの名前です。定跡は、その中で最善とされる決まった手順のことです。四間飛車が戦法、その1手ずつの手順が定跡にあたります。
受け方を知らない相手にはよく決まります。ただし正しい受け方が広く知られているので、知っている相手には通じません。一発勝負向きの奇襲戦法です。
まずは1つで十分です。1つの戦法を何局も指し、相手の受け方ごとの対応を覚えます。そのほうが、たくさんの戦法をかじるより強くなれます。