公開日:2026年8月19日|最終更新:2026年8月19日
矢倉囲い(金矢倉)とは、玉を8八に囲い、7八の金・6七の金・7七の銀の3枚で上からの攻めを受け止める居飛車の守りの形(囲い)です。ふつう「矢倉囲い」と言えばこの形を指します。
金矢倉の完成図は、8八の玉を7八の金・6七の金・7七の銀で囲った形です。
陣営:居飛車/系統:矢倉系/組む手数:13手
90〜100=全囲いでトップクラス/70〜89=強い/50〜69=ふつう/30〜49=弱め/0〜29=はっきりした弱点。
金矢倉は、初形から13手で組めます。歩を3回突き、銀を7七へ上げ、2枚の金を7八と6七へ動かし、角を6八へ移してから玉を8八へ入れます。
手数に数えたのは盤面図に写っている形を作るのに必要な手だけです。飛車を動かす手や、盤面図に写らない通り道をあける手は数えていません。相手の手は入れていません。実際の対局では、相手も同じだけ指します。
全13手の手順は次のとおりです。
金矢倉は、おたがいに飛車を左へ振らない相居飛車(あいいびしゃ)で使う囲いです。
| 自分 | 相手 | 金矢倉 |
|---|---|---|
| 居飛車 | 居飛車(相居飛車) | 使う。この囲いの主役の形です。おたがいに飛車を右に置くので、相手の攻めは玉の上から来ます。金矢倉は上に強いので、まっすぐ受け止められます。 |
| 居飛車 | 振り飛車(対抗形=片方だけが飛車を振る将棋) | 向かない。相手が飛車を左へ振ると、攻めは玉の上からではなく横から来ます。金矢倉は上からの攻めを想定した形なので、横から攻められる形では選びません。舟囲い・左美濃・居飛車穴熊を使います。 |
| 振り飛車 | 居飛車 | 使わない。自分が飛車を左に振ると玉は右へ囲うので、本美濃などの美濃系になります。 |
| 振り飛車 | 振り飛車(相振り飛車) | そのままでは使わない。おたがいに飛車を振る相振り飛車では、左右を逆にした右矢倉が使われます。このページの形(玉が8八)はそのままでは向きません。 |
相手が急いで攻めてきたときは、金矢倉を最後まで作らず、途中の形のまま戦います。
図は、銀を7七へ上げて、歩がぶつかる8六(赤い印)に守りを足した形です。
相手が飛車の前の歩(飛車先)を2マス進めてくると、次にその歩をぶつけられます。金や玉を動かす前に銀を7七へ上げて、8六の地点に守りを足します。
図は、6八の角が、8六へ出た銀をななめのききで支えている形です。
相手が銀を前に出して攻めてくる形(棒銀)や、飛車を6筋(相手から見て右から4番目の筋)へ動かす右四間飛車では、囲う前に戦いが始まります。玉を8八へ入れるより先に角を6八へ移すと、7七の銀が8六へ出たときにその銀を角で支えられます。
図は、玉を7八で止めた片矢倉の完成形です。
金を7八へ上げる前に決めます。右の金だけを6七へ上げ、左の金は6八に置き、玉を7八で止めると片矢倉(10手)になります。3手ぶん早く戦いを始められます。
図は、8六の歩を銀で取り返し、8七に自分の歩が残った形です。
相手が盤の上の歩を突いてわざと取らせる手を突き捨てといいます。歩で取ると、8五にもう1枚の歩を打たれて攻めがつながります。銀で取れば8七に自分の歩が残るので、8七へ歩を打たれる手を消せます。ただし相手が角を持っていて、銀を動かすと角で2枚同時にねらわれる形のときは、8七の歩で取ります。
矢倉囲いが攻められるのは、端攻め・下段への銀打ち・継ぎ歩の3つです。
うすい駒のように、相手が端へ歩や銀を進めてくる攻め方を端攻めといいます。端には金も銀もありません。9七の歩を支えているのは8八の玉・8九の桂・9九の香だけです。矢倉系に共通で、相手は金銀に手をつけないまま玉に迫れます。
うすい銀は、相手が持ち駒の銀を6九へ打ちこんだところです。6九には利いている駒が1枚もありません。銀のかわりに飛車を打ちこまれた場合でも、6八の角と8九の桂は守られています。銀を打たれた場合は7八の金がねらわれ、金を動かして受けることになるので、囲いが下の段へ引きもどされます。1マスあけてよこに並んだ金や飛車を、銀を打って同時にねらう手筋を割り打ちの銀といいます。矢倉囲いは八段目(下から2つ目の段)にいる金が7八の1枚だけで、もう1枚は6七にいるので、この形では割り打ちになりません。
うすい歩は、相手が8六へ歩を突き捨てたところです。この歩を取ったあと、赤い印の8五にもう1枚の歩を打つ攻め方を継ぎ歩といいます。どちらも8八の玉の前にあたります。歩を足されると玉の頭が破れます。
図は、もとになった実戦の9手目(飛車先の歩を2五まで伸ばした実際の配置)で、下側が自分、上側が相手です。
相手の急戦策が強力な現代では、囲いはじめる前に、まず自分の飛車先(飛車の前の歩)を伸ばすのが有力です。黄色の2五の歩は、次に赤い印の2四で歩をぶつける形です。図の上側の相手は、まだ玉が5一のままで、囲うか急戦でくるかを決めていません。ここで2四のぶつけを見せておくと、相手は銀を上げて受けることになり、角道も止まるので、急戦そのものを未然に消しやすくなり、金矢倉に組みやすくなります。実戦でも、このあと相手は銀を3三へ上げて2四を受けました。
図は実戦の27手目の配置を、受け側が手前になるよう反転したものです。
相手が囲いを後回しにして早く攻めてくる指し方(急戦矢倉)には、奇をてらわず、黄色の金銀3枚のスタンダードな金矢倉に組んで迎え撃つのが本筋です。図の上側が、プロ棋士が実戦で作った急戦矢倉の攻撃形(歩・桂・銀に飛車を足した形)です。もとになった実戦でも、受け側は基本の金矢倉のまま、この猛攻を盤上では受け切りました。
図は実戦の41手目(銀をぶつけられた瞬間)の配置を、受け側が手前になるよう反転したものです。
駒がぶつかったら、取るのがふつうです。ただし取る前に、取ったあとの相手の手を必ず読みます。図で6六の銀で5五の銀を取ると、2二の相手の角が5五まで進み、赤い印の2本の筋で2八の飛車と9九の香を同時にねらう両取りになります。この場面では取らずにかわすのが正解でした。
図は実戦の73手目の配置を、受け側が手前になるよう反転したものです。
黄色の4六の角は、受け側が実戦で放った攻防の一着です。この角は一手前まで相手の飛車に当たりながら、詰めろ(次に詰ますぞ、という手)も同時にかけていました。相手はこの両方を一度に受けるため、持ち駒の銀を黄色の5五に打って筋を止めるしかありませんでした(図)。このあと受け側は、5三の銀が支える赤い印の6四へ金を打って攻めを続けました。受けに回されたときこそ、攻めと受けを兼ねる手をさがします。
図は実戦の76手目の配置を、受け側が手前になるよう反転したものです。
2八の飛車の横のききが、赤い印のマスに通っています。玉のそばに駒を打ちこまれる手を、金銀ではなく飛車が防いでいる形です。さらに黄色の5七の銀は相手の5六の銀に当たっていて、取れば銀が持ち駒に入ります。もとになった実戦でも、受け側はこの横のききが自分の玉の守りに通っていたおかげで、紙一重で受け切る形を作りました。
図は実戦の最終局面(93手目)の配置を、受け側が手前になるよう反転したものです。
囲いの中でじっと耐えるだけが受けではありません。玉が上へ逃げる道があるかを先に確かめておきます。図では2二の相手の角が、赤い印の筋で黄色の7七の金に遠くから利いています。図のあとの変化でこの金を角に取られて王手されたとき、8九の桂で取ると詰みですが、玉で取って黄色の6六へ上がれば詰みません。相手の持ち駒が金か銀かで詰むかどうかも変わるので、逃げ道は最後まで数えます。
図は実戦の投了の場面(93手目・相手の角打ちの王手)を、受け側が手前になるよう反転したものです。
図で受け側は、王手が続いて詰まされたと思いこみ、ここで投了して負けました。実際はこの王手に玉を黄色の9八へかわせば詰みはなく、解析でも受け側がはっきり勝ちの形勢でした。王手をされたら、あわてて投了せず、相手の持ち駒と玉の逃げ道を見て、詰みかどうかを最後まで数えます。数えずに投了すると、盤の上では勝っている将棋も負けになります。
金矢倉は矢倉系の中心にある囲いで、銀を足すと総矢倉、玉を9九へ入れると矢倉穴熊になります。
発展先:右の銀を5七へ運ぶと総矢倉(15手・2手ぶん多い)、香を9八へ上げて玉を9九へ入れると矢倉穴熊(15手・2手ぶん多い)になります。
関連する囲い:6七を金ではなく銀にした形が銀矢倉(15手)です。7八の金を6八へ移し、空いた7八へ玉を置いた形が片矢倉(10手)、角を7九に引いたまま玉を7八で止める早い組み方が矢倉早囲い(10手)です。桂を7七へ跳ね、銀を8八に置き、玉を8九まで下げた別の形が菊水矢倉(13手)です。
金矢倉は、矢倉戦法(玉を左に囲ってから右から攻める指し方)と棒銀(銀を前に出して攻める戦法)と組み合わせて使います。
どちらも相居飛車の攻め方です。玉を左に囲って、右から攻める形になります。
金矢倉について多い質問を8問まとめました。
このページの金矢倉は13手で組めます。歩を3回突き、銀を7七へ上げ、2枚の金を7八と6七へ動かし、角を6八へ移してから玉を8八へ入れます。相手の手と、飛車を動かす手は数えていません。
横からの攻めと玉の頭です。7八の金を守っているのは8八の玉だけなので、6九に銀を打たれると金をねらわれます。8六から歩を足されると玉の頭も破られます。端(9筋)には金も銀もいません。
向きません。矢倉は上からの攻めを想定した形なので、飛車で横から攻めてくる振り飛車には合いません。相手が振り飛車のときは舟囲い・左美濃・居飛車穴熊を使います。
6七のマスが金か銀かの違いです。金矢倉は6七が金、銀矢倉は6七が銀になります。銀矢倉は斜めからの攻めに強くなり、守りの金は7八の1枚だけになります。
銀で取ります。歩で取ると8五にもう1枚の歩を打たれて攻めがつながります。銀で取れば8七に自分の歩が残るので、8七へ歩を打たれる手を消せます。ただし相手が角を持っていて、銀を動かすと角で2枚同時にねらわれる形のときは、8七の歩で取ります。
使われていますが、昔ほど多くはありません。相手が左美濃や雁木で早く攻めてくる指し方が増え、矢倉に組む前に戦いが始まることが多くなったためです。
やぐらがこいと読みます。このページで紹介している金矢倉は、きんやぐらと読みます。
矢倉戦法と棒銀です。どちらも相居飛車の攻め方で、玉を左に囲って右から攻める形になります。