早石田

早石田の狙いと対策|仕掛けを図解

公開日:2026年8月16日|最終更新:2026年8月21日

早石田とは、角の道を止めずに歩を7五へ突き、飛車を7八に振ってすぐ仕掛ける石田流の急戦(囲う前に攻める戦い方)です。玉を囲わずに攻めるため、決まれば早く、受けられると続きません。歩を7四に捨てて角を打つ狙い筋と、3つの対策を盤面図でまとめました。

目次

早石田とは

早石田とは、玉を囲わずに歩を7四へ突き捨てて仕掛ける石田流の急ぐ形です。

早石田の基本形(先手の駒だけ)。歩が7五、飛車が7八、玉が4八です。

3手目に歩を7五へ突くのが目印です(▲7五歩)。角の道を止めないので、角の交換から一気に戦いになります。

玉はほとんど囲いません。石田流本組が先手の15手かけて組む形なのに対し、早石田は先手の5手目(通算9手目)に歩を7四へ突いて仕掛けます。

升田式石田流は、玉を4八に上げ、相手から角を交換してもらって、金を7八に上がる形です。飛車は7六へ浮き、玉は美濃囲いまで囲ってから戦います。

受け方を知らない相手にはよく決まりますが、正しく受けられると攻めが続きません。

定跡手数:11手(当サイトの定跡データに入っている先手の手の数。相手の応手は数えていません)。このページの図は、そのうち仕掛けまでの7手です。

早石田の強さ(9項目)

早石田は、仕掛けの速さが全戦法の中で最上位クラス、汎用性は最下位クラスの戦法です。

先手の5手目から仕掛けられるので、相手が囲い終わる前に勝負を決められます。

弱いのは持久力と汎用性です。攻めが受け止められると玉が裸のまま残り、立て直しがきかなくなります。

意外性は75です。受け方を知らない相手には大きく得をします。

早石田の仕掛けの手順

早石田は、歩を7五まで伸ばして飛車を7八に振り、玉を4八に上げてから歩を7四に突き捨てます。

歩を7六に突き(▲7六歩)、7五まで伸ばします(▲7五歩)。飛車を7八に振り(▲7八飛)、玉を4八に上げます(▲4八玉)。

5手目 ▲7八飛

飛車を7八に振ったところ(▲7八飛)。角の道は開いたままです。

7手目 ▲4八玉

玉を4八に上げたところ(▲4八玉)。ここまでが早石田の基本形です。

ここで歩を7四に突き捨てます(▲7四歩)。相手がその歩で取り返したら(△同歩)、角を交換します(▲2二角成)。

相手がその銀で取り返したところで(△同銀)、角を5五に打ちます(▲5五角)。8二の飛車と2二の銀の両取り(1手で2つの駒をねらう形)です。

9手目 ▲7四歩

歩を7四に突き捨てたところ(▲7四歩)。仕掛けの1手です。

13手目 ▲5五角

角を5五に打ったところ(▲5五角)。8二の飛車と2二の銀の両取りです。図に持ち駒は出していません。相手は角1枚と歩1枚を持っています。

早石田の狙い筋

早石田の狙いは、角を5五に打って相手の飛車と銀に両取りをかけることです。

歩を7四に捨てるのは、相手の歩をそこへ呼んで7三のマスを空けるためです。5五の角から7三を通り、8二の飛車まで斜めの道が通ります。

相手が飛車を逃げれば2二の銀を取れます。銀を守れば飛車を取れます。

角を打つ形が消えたときは、飛車を7六へ浮いて石田流本組に組みかえます。

早石田が対策されたときの指し方

早石田が対策されたときは、相手が金を7二に上がる形、玉を4二に上がる形、歩を5四に突く形の3つに分けて指し方を変えます。

相手が金を7二に上がってきたとき

金を7二に上げる形は、早石田の最有力の対策です。7筋を攻めても金が受けに利いていて、攻めが続きません。

この形になったら無理に攻めず、飛車を7六へ浮いて石田流本組に組みかえます。飛車を7五に浮く指し方(久保新手)もあります。

相手が玉を4二に上がってきたとき

玉が4二にいると、角を交換したあとの返し技(▲7六角)が利きません。

この形では先に角の道を止めます(▲6六歩)。ふつうの三間飛車や石田流本組へ進みます。

相手が歩を5四に突いてきたとき

歩を5四に突かれると、5五の角打ちが消えます。

だから7筋の歩を突き捨てずに、飛車を7六へ浮いて本組をめざします。

早石田と相性の良い囲い

早石田は玉を囲わずに攻める戦法です。

囲うとしても、金1枚と銀1枚の軽い形までにします。

片美濃に組まないときは、玉だけ4八から3八へ寄せておく指し方もあります。

早石田を受ける側の対策

早石田を受けるときは、金を7二に上がるか、玉を4二に上がるか、歩を5四に突くかの3つの方法があります。

金を7二に上げる形がいちばん堅い受けです。7筋を攻められても金が受けに利きます。

玉を4二に上げると、角を交換したあとに角を4五へ打ち返す反撃が生まれます。

歩を5四に突く形は、5五への角打ちを消すだけの分かりやすい対策です。

早石田で相振り飛車になったとき

早石田は相振り飛車(おたがいに飛車を振る戦い)でも指せますが、囲いを作ってから戦うことが多くなります。

相振り飛車は囲いの上から攻め合う戦いになり、相手が矢倉(玉の上側を金銀で厚くする囲い)に囲うとこちらから攻めにくいからです。いまは飛車を前に出さず、囲いを作ってから相手の囲いの上を攻めます。

囲いは金無双が合います。金2枚を横に並べた形で、5手で組めるので、攻めに使う手数が多く残ります。

実戦で学ぶ早石田の戦い方

実戦で学ぶ早石田①: 角の道を開けたまま飛車を振ったかどうかを確かめる

図は1局目(▲3六角で受けた将棋)の5手目の配置です。下側が早石田の側です。図に持ち駒は出していません(この局面はどちらも持ち駒なし)。

早石田には入り口が2つあります。▲6六歩と角の道を止めてから石田流に組む穏やかなコースと、図のように角の道を開けたまま▲7八飛と回る激しいコースです。図では8八の角の道が2二の相手の角までまっすぐ通っていて、相手はいつでも角を交換できます。角の道を開けたままの順は乱戦になりやすいので、初めての人はまず▲6六歩の穏やかなコースで形に慣れてください。

実戦で学ぶ早石田②: 角を打たれたとき、こちらも角を打ち返せる形かを読む

図は1局目の11手目(角を合わせたところ)の配置です。下側が早石田の側です。図に持ち駒は出していません(この局面はどちらも持ち駒なし)。

角の道を開けたまま▲7八飛と回ると、相手は角を交換してから△4五角と打ってきます。玉を4八に上げていたこの将棋では、▲3六角と角を合わせて打ち返しました。3六の角は4五の相手の角に直接当たっているので、相手は角を成るか、動かすか、交換するかを決めなければなりません。実戦はお互いに馬(成った角)を作り合う難しい戦いになりました。馬を引くときは、自分の玉に近いほうへ引くと大きな間違いになりません。

実戦で学ぶ早石田③: 攻め合いに入る前に、玉のまわりに金銀が何枚寄っているかを数える

図は1局目の25手目(美濃囲いが完成したところ)の配置です。下側が早石田の側です。図に持ち駒は出していません(手前側=なし/相手側=歩1枚)。

相手の馬は赤い印の6七まで入ってきましたが、▲6八歩と歩を打って8五へ追い返しました。6七はいまもこの歩が守っています。その間にこちらは玉を2八まで運び、3八の銀と5八・4九の金で美濃囲い(玉の横に金銀を並べる囲い)を完成させました。解説者も「美濃囲いに組むと方針が分かりやすいのでおすすめ」と話しています。

実戦で学ぶ早石田④: 相手の馬が出てきたら、どのマスに利いているかを数える

図は1局目の36手目(相手の馬が中央に出たところ)の配置です。下側が早石田の側です。図に持ち駒は出していません(この局面はどちらも持ち駒なし)。

図の5四にいるのが相手の馬です。この馬は赤い印の6五に利いていて、6四の歩と合わせて、こちらが6六の歩を6五へ伸ばす手を止めています。相手の大駒が出てきたら、まずどこに利いているかを数えて、伸ばせない歩と置けない駒を確かめます。この将棋では、このあと歩を打って馬の帰り道を1つずつ消し、働かなくなった馬をこちらの銀と交換させて得をしました。決着は相手の時間切れで、早石田の側の勝ちです。

実戦で学ぶ早石田⑤: 角を打たれたら、玉を1つ上がるだけで受かるかを読む

図は2局目(▲5八玉で受けた将棋)の11手目の配置です。下側が早石田の側です。図に持ち駒は出していません(手前側=なし/相手側=歩1枚)。

相手の△4五角は、6七と2七の両方に成る狙いで、ふつうは受かりません。ここで▲5八玉とまっすぐ上がると、玉の利きが6七に足されるので、相手は6七に成れなくなります。実戦でも相手は2七に成るしかなく、それが図の2七の馬です。こちらは▲5五角と打ち返しました。この5五の角は、赤い印の4四・3三・2二を通って1一の香をにらんでいます。受けだけに見えるこの玉上がりは、あとで相手の飛車のラインから外れる伏線にもなります。

実戦で学ぶ早石田⑥: 横歩を取る前に、相手に歩を打たせているかを確かめる

図は2局目の17手目(横歩を取ったところ)の配置です。下側が早石田の側です。図に持ち駒は出していません(手前側=歩2枚/相手側=歩1枚)。

▲7四歩・△同歩・▲同飛と走ると、次に赤い印の7二へ歩を垂らす手(と金=成った歩を作るねらいの歩)が厳しくなります。どの駒で取っても味が悪いので、相手はほとんど△7三歩と受けるしかありません。図の7三の歩がそれです。相手に受けの形を先に決めさせてから、▲3四飛と横歩(飛車が横に走って取る歩)を取りました。

実戦で学ぶ早石田⑦: 相手の馬は、取るより先に行き先を1つずつ消せるかを数える

図は2局目の25手目(馬を押さえこんだところ)の配置です。下側が早石田の側です。図に持ち駒は出していません(手前側=歩2枚/相手側=歩1枚)。

相手の馬は、少し前まで2七にいて、放っておくと4五へ引かれ、飛車と角の両取りになる筋がありました。そこで▲3六歩と突いてその道をふさぎ、金は3八に上げます(そのとき3八銀だと2八に馬を入られて香を取られます)。馬が2六へ寄ったところで▲3五飛と回ったのが図で、この飛車は3六の歩に守られています。2六の馬は行き先が減り、飛車との交換が避けられなくなりました。飛車を渡しても、打ち込まれる隙のない陣形なら困りません。この将棋は最後に相手玉を詰まして、早石田の側の勝ちになりました。

早石田のよくある質問

早石田と石田流の違いは何ですか?

早石田は石田流の中の急ぐ形です。玉を囲わずに先手の5手目(通算9手目)から仕掛けます。石田流本組は、美濃囲いに囲い、桂を7七、角を9七まで上げるのに先手の15手かけます。

早石田と升田式石田流はどう違いますか?

玉を4八に上げるところまでは同じですが、升田式は美濃囲いまで囲ってから戦います。相手から角を交換してもらい、金を7八に上げて打ち込みを消すのが目印です。

早石田の対策は何を覚えればいいですか?

3つあります。金を7二に上がる形、玉を4二に上がる形、歩を5四に突く形です。まず金を7二に上がる形を覚えると、攻めが続かなくなります。

早石田は奇襲ですか?

受け方を知らない相手には大きく得をする形なので、奇襲として紹介されることがあります。対策が広く知られたあとも、飛車を7五に浮く指し方などが研究されています。

早石田は後手番でも使えますか?

先手番より不利とされています。先手に1手多く準備されるぶん、攻めが決まりにくいためです。後手番では3・4・3戦法(歩を3五へ突いてから、飛車をいったん4二へ、そのあと3二へ振り直す形)などに組みかえます。

早石田で玉は囲わなくていいですか?

基本は囲いません。囲う時間で攻めるのがこの戦法の考え方です。攻めが止まったときのために、金1枚と銀1枚の片美濃までにとどめます。

早石田は相振り飛車でも使えますか?

使えますが、囲いを作ってから戦うことが多くなります。相振り飛車は囲いの上から攻め合う戦いになり、相手が矢倉(玉の上側を金銀で厚くする囲い)に囲うとこちらから攻めにくいためです。囲いは金2枚を横に並べる金無双が合います。

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