早繰り銀

早繰り銀の指し方と対策|3五の歩から銀を交換する速攻の定跡

公開日:2026年8月16日|最終更新:2026年8月21日

早繰り銀とは、右の銀を3七から4六へ早く進め、3五の歩を突いて銀の交換を狙う攻めの定跡です。角換わりで使う銀の形の1つで、棒銀・腰掛け銀と合わせて三すくみ(じゃんけんのような相性)になります。

早繰り銀の代表局面

早繰り銀は、右の銀を3七から4六へ進め、3五の歩を突いて銀を交換しにいく戦法です。

分類:居飛車/定跡手数:14手(先手の手だけを数えます)

図は先手が角を交換したあと、銀を3五まで進めたところです。玉は6八へ上がっただけで、囲いは作っていません。盤には先手の駒だけを出しています。

早繰り銀の強さを9項目で見る

早繰り銀は9項目のうち仕掛けの速さが85でいちばん高く、破壊力と覚えやすさの75が続きます。いちばん低いのは意外性の30です。9項目の点数は、破壊力75・仕掛けの速さ85・意外性30・覚えやすさ75・汎用性60・持久力50・対急戦耐性55・構想の自由度45・発展性60です。

早繰り銀の定跡手順(全14手)

早繰り銀の駒組みは14手です。定跡手数は先手の手だけ、図の「N手目」は通算の数です。黄色のマスが、その手で動いた先です。

図1 11手目

7六の歩と2六の歩を突き、角を7七へ上げ、銀を8八へ上げ、金を7八へ上げます。相手が角を切って(自分から角の交換をしかけて)きたところで、銀を8八から7七へ上げて取り返します(▲7七銀)。これで角の交換が終わります。

図2 21手目

銀を3八へ上げ、飛車先の歩を2五へ伸ばし、3六の歩を突いてから、銀を3七・4六と運びます(▲4六銀)。この銀の形が早繰り銀です。

図3 23手目

攻める前に玉を5九から6八へ上がります(▲6八玉)。玉を元の場所に置いたまま飛車先の歩を交換すると、2四へ出た飛車と玉を、角を1五へ打たれてまとめて狙われます。

図4 27手目

3六の歩を3五へ突き、相手が歩で取り返したところを銀で取ります(▲3五歩△同歩▲同銀)。ここまでで14手です。

早繰り銀の仕掛けは、3五の歩から銀を出すこの1つだけです。銀を歩で追われても、先に飛車先の歩を突き捨てて銀と銀を交換するのが本来の狙いです。突き捨てとは、わざと取らせて相手の形をみだす手のことです。

早繰り銀の狙い筋

早繰り銀の狙いは、3五の歩から銀を交換し、持ち駒の銀と歩で端を攻めることです。

銀と銀を交換する

3五へ出た銀に歩をぶつけられても、すぐには銀を逃げません。先に飛車先の歩を突き捨て、銀と銀を交換するほうが得です。

持ち駒で端を攻める

銀を交換したら、端の歩を突き捨ててから1三へ歩を打ちます。持ち駒の銀と歩がそろうと、相手の玉の頭を直接攻められます。

銀を早く出して先に動く

囲いを作らず、玉を1マス動かすだけで仕掛けます。相手が形を決める前に攻められるのが、この戦法の良いところです。角換わり一手損角換わりで使います。

早繰り銀が対策されたときの指し方

早繰り銀が対策されたときは、歩で銀を追われる形・十字飛車・銀の交換を拒まれる形・玉の形を先に決める形の4つで指し方を変えます。

歩で銀を追われたとき

相手が銀を5四へ上げ、4四の歩を4五へ突いて銀を追ってきたら、この戦法のいちばん苦しい形です。銀を3七へ引いて立て直すか、玉の形を先に決めて長い将棋にします。

十字飛車をねらわれたとき

相手が8筋の歩を突き捨て、続けて同じ筋に持ち駒の歩を打つのが継ぎ歩です。こちらが歩で取ると、相手の飛車が8五まで出て、横に3五の銀、縦に8九の桂へ同時に当たります。縦と横の十字に利くので十字飛車といい、1手で2枚に当てる形を両取りといいます。歩を取らずに3四へ歩を打ち、攻め合いを選びます。

銀の交換を拒まれたとき

相手が4四へ歩を突いて5四の銀を4三へ引き、交換を拒んできたら、3四へ歩を打って相手の陣を乱します。銀が交換できないときは、攻めをいったん止めて玉を囲い直します。

玉の形を先に決める

仕掛ける前に玉を6八へ上がります。玉を5八へ上げる指し方もあります。玉を元の場所に置いたままの仕掛けは、角を1五へ打たれて飛車と玉をまとめて狙われます。

早繰り銀と相性の良い囲い

早繰り銀は、決まった囲いを作らない戦法です。玉を1マス動かすだけで仕掛け、相手が飛車を振ってきたときだけ軽い囲いを作ります。

舟囲い:7八の玉を7九の銀・6九の金・5八の金・4八の銀で守る囲いです。相手が飛車を振ってきたときだけ、この囲いを作ります。

カニ囲い:6九の玉を7八の金・6八の銀・5八の金で守る軽い囲いです。この形のまま、すぐ攻めに移れます。

早繰り銀を受ける側の対策

早繰り銀を受ける側は、腰掛け銀に構えて歩で銀を追い払うのがいちばん有力とされています。ここでは受ける側を後手とします。

腰掛け銀で歩を突いて追う

銀を5四へ上げ、4四の歩から4五へ突いて銀を追います。歩越し銀(歩より前へ出た銀)には歩で対抗、という格言どおりの受け方です。

5四の銀を4三へ引いて交換を拒む

同じ構えから4四へ歩を突いておくと、銀を4三へ引けます。銀と銀の交換が起きないので、相手の持ち駒はそろわず、端攻めも続きません。

継ぎ歩から十字飛車をねらう

8筋の歩を突き捨て、続けて同じ筋に持ち駒の歩を打ちます(継ぎ歩)。相手が歩で取れば、飛車が8五まで出て、横の銀と縦の桂に同時に当たります(十字飛車)。

相早繰り銀にする

こちらも銀を6四へ繰り出し、同じ形で戦います。飛車先を守りながら攻めを見せられるので、五分に戦えます。

実戦で学ぶ早繰り銀の攻め方

実戦で学ぶ早繰り銀①: 囲わずに攻める形なら、銀が何手で3筋に届くかを数える

図は1局目(極限早繰り銀の将棋)の11手目の配置です。下側が早繰り銀の側です。図に持ち駒は出していません(この局面はどちらも持ち駒なし)。

極限早繰り銀は、玉を1度も動かさない居玉のまま、▲4八銀・▲3六歩・▲3七銀と3手で銀を繰り出す形です。図がその組み上がりで、ここから赤い印の3五へ歩を突いて、とにかく素早く3筋を攻めていきます。囲いに手数を使わないぶん、攻めが速くなります。まずこの形を1本覚えると、方針がぶれません。

実戦で学ぶ早繰り銀②: 歩を1枚持ったら、相手の陣に打ちこめる急所ができていないかを読む

図は1局目の16手目(相手が横歩を取ったところ)の配置です。下側が早繰り銀の側です。図に持ち駒は出していません(手前側=歩1枚/相手側=歩2枚)。

相手が8筋の歩を交換して△7六飛と横歩(飛車が横に走って取る歩)まで取ったので、こちらは歩を1枚持ちました。図の相手は3二の銀と2三の歩で低く構えています。そこで赤い印の2四へ▲2四歩と突っかけました。△同歩と取らせて2筋の歩がなくなれば、こんどは2二へ歩を打つ手が生まれます。相手が手を抜けば▲2三歩成もあります。歩を1枚手にしたら、まず相手陣に打てる場所ができないかを探します。

実戦で学ぶ早繰り銀③: 攻め合いになったら、どちらが先に敵陣で成れるかを数える

図は1局目の20手目(2四に歩を進め、角を交換したところ)の配置です。下側が早繰り銀の側です。図に持ち駒は出していません(手前側=角1枚・歩1枚/相手側=角1枚・歩2枚)。

図の2四の歩は、次に▲2三歩成と成るねらいの拠点(相手陣に残って攻めの足がかりになる駒)です。お互い玉を動かしていない攻め合いなので、1手の差がそのまま勝ち負けになります。ものさしは「自分だけ敵陣で駒を成れているか」です。実戦はこのあとこちらだけが飛車を敵陣に成り込み、危なく見えても攻め合いが有利になりました。最後は相手玉を詰まして、早繰り銀の側の勝ちです。

実戦で学ぶ早繰り銀④: 銀を4六へ出したら、次にどの筋を突く形かを確かめる

図は2局目(角換わりの将棋)の17手目の配置です。下側が早繰り銀の側です。図に持ち駒は出していません(手前側=角1枚/相手側=角1枚)。

角換わり(序盤に角を交換し合う形)では、右の銀の使い方が3通りあります。棒銀・腰掛け銀・早繰り銀です。図は▲3七銀から▲4六銀と出た早繰り銀で、棒銀より中央寄りに構えるのが特徴です。次に赤い印の3五へ歩を突き、△同歩▲同銀と出て、2筋の歩交換や突破をねらいます。3つのうち1つを覚えるだけでも角換わりは戦えます。

実戦で学ぶ早繰り銀⑤: 歩で追い返されたとき、下がる手と踏み込む手のどちらが得かを比べる

図は2局目の26手目(3筋を取り込み、相手が3三金と受けたところ)の配置です。下側が早繰り銀の側です。図に持ち駒は出していません(手前側=角1枚・歩1枚/相手側=角1枚・歩1枚)。

相手は飛車を4二へ回してきました。こちらが▲3五歩と仕掛けると、相手は△同歩とせず△4五歩と突いて銀を追い返しにきます。ここで銀を下がると、繰り出した意味がなくなります。実戦は構わず▲3四歩と取り込み、△同銀と相手の銀を前へ出させてから▲3七銀と引きました。図の相手は3三の金で2筋と3筋を受けています。実戦はこのあと玉を7八へ寄せて囲いを整えてから、赤い印の2四を攻め口にする組み立て(次のカード)に入りました。2四には2五の歩が利いています。

実戦で学ぶ早繰り銀⑥: 角を打つ前に、その角をどこで切るかを決めているかを確かめる

図は2局目の31手目(角を打ったところ)の配置です。下側が早繰り銀の側です。図に持ち駒は出していません(手前側=歩1枚/相手側=角1枚・歩1枚)。

図の6六の角は、赤い印の5五・4四を通って相手の3三の金をにらんでいます。ねらいは1つで、▲3三角成・△同桂・▲2四歩から飛車を成り込むことです。切る場所を先に決めて打った角は、分かっていても受けにくくなります。攻め駒は数えます。3枚では細く、4枚なら切れません。1枚足りないときは、と金(成った歩)を作って4枚目に足してから踏み込みます。実戦はこの角切りから攻めがつながり、相手が投了して早繰り銀の側の勝ちになりました。

早繰り銀のよくある質問

早繰り銀について、よく出る質問を8つまとめました。棒銀との違い・三すくみ・狙い・対策・囲いの順に答えます。

早繰り銀とはどんな戦法ですか?

右の銀を3七から4六へ早く進め、3五の歩を突いて銀の交換を狙う速攻の戦法です。角換わり・一手損角換わり・相掛かりで使われます。

早繰り銀と棒銀の違いは何ですか?

銀を進める筋が違います。棒銀は銀を2筋へまっすぐ進めます。早繰り銀は3六の歩を突いてから、銀を3七・4六と斜めに使います。分かれ道は3六の歩を突くかどうかです。

早繰り銀・棒銀・腰掛け銀の相性は?

三すくみです。早繰り銀は棒銀に強く、腰掛け銀に弱いとされています。腰掛け銀は棒銀に弱いとされています。

早繰り銀の狙いは何ですか?

3五の歩を突いて銀と銀を交換することです。交換できれば、持ち駒の銀と歩で端を攻められます。

早繰り銀の対策は何ですか?

いちばん有力とされているのは腰掛け銀です。銀を5四へ上げ、4四の歩から4五へ突いて銀を追い払います。同じ構えから4四へ歩を突き、5四の銀を4三へ引いて交換を拒む形や、継ぎ歩から十字飛車をねらう形もあります。

早繰り銀で気をつけることは何ですか?

玉を元の場所に置いたまま仕掛けないことです。飛車先の歩を交換して飛車が2四へ出たとき、角を1五へ打たれて飛車と玉をまとめて狙われます。玉を6八へ動かしてから攻めます。

早繰り銀と相性の良い囲いは何ですか?

決まった囲いはありません。玉を囲う前に速攻するのがこの戦法の性質で、玉を6八や5八へ1手だけ動かして仕掛けます。

早繰り銀は角換わり以外でも使えますか?

使えます。一手損角換わりでは主な対策の1つです。相掛かりや矢倉の急戦、中飛車で左の銀を繰り出す形でも指されています。

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